千年女優

マイ・ブロークン・マリコの千年女優のレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.0
ブラック企業に勤める一人暮らしの会社員で、ラーメン屋のテレビから流れた親友イカガワマリコの自殺のニュースに衝撃を受けるシイノトモヨ。長年虐待に苦しんでいたマリコを想って「せめて骨だけは拾う」と衝動的にその遺骨を盗み出した彼女が、生前にマリコが生きたいと願っていた海へと繰り出す逃避行を描いたロードムービーです。

『Comic BRIDGE online』で連載されて話題になった平庫ワカのデビュー作を映画化した作品で、読み終えた瞬間には「映画にしたい」という強い意欲を持った『百万円と苦虫女』のタナダユキがプロデューサーを説得して翌日には企画を立ち上げ、永野芽郁に奈緒、窪田正孝らのキャストを盛り立てて時流のシスターフッドの物語を彩ります。

岡崎京子を思わせる原作は短い物語の中に漫画の強みを活かして時間や空間に台詞を凝縮するパワフルな作品でしたが、リスペクトであっても喋り過ぎの演出は間延びを感じさせ、漫画という宝箱に閉じ込められていたからこそあった輝きが失われている様に思えます。それでも幾つかのシーンでは演者のパワーでキラめきを味わえる一作です。
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