会社すっぽかして遺骨奪って海まで連れていくというのはドラマチック。それでも友達の死に正面きって向かい合い、シイノなりの弔いを全うしている姿は、ある意味とても健全で正統なことのように思えてしまった。
大いに怒り、大いに悲しんで、日常へと戻る。シイノはたくましい。
印象的だったのは俳優陣の話し方。
永野芽郁ちゃんは可愛いが故に「ダチ」とか「あんた」とか汚い言葉遣いが似合わなさすぎる。タバコも喫煙者と同じタイミングで吸ったり、かなり役作りに力は入れていたようだけど、天性のピュアさが優ってしまっていたように感じる。
対照的に、窪田くんの演技が最高だった。
やっぱりなんといっても窪田くんの声。
窪田くんにあの声で「大丈夫にみえます」って言われたら、ひったくりにあおうが崖から落ちて足が骨折していようが全部大丈夫に思えそう。
それくらい深い優しさに満ちている。
海と窪田くんを観ると、ふと「Nのために」を思い出された。
するとNのためにの成瀬ー杉下の関係と、今作のシイノーマリコの関係が少し重なって見えるような。
あのマキオの台詞は、まるで成瀬からシイノに対してかけた言葉だったように思う。
