『 冷静と情熱のあいだ 』
思い入れがあればこその難しさ。
原作を読み、すぐさま映画化を望んだ監督。原作のスピード感。それを失わぬ様にと臨んだ監督。ただ、その思い入れの強さが時に邪魔をする事もある様で...
“残された側の折り合いのつけ方”
鑑賞後、監督のインタビューを読んで真意は理解出来ました。85分という上映時間。90分を切る尺というのは本来コンパクトな部類。ただ監督曰く、そもそもは60~70分にまとまってしまうところだったとの事。
「それでは短すぎる...」
と、思ったかどうかは分かりませんが、とにかく心情を実際に言葉として吐露する場面が多すぎる。更にはそれぞれが長い。夜道で思い立つ場面はせっかくの熱演でありながら、どう見ても「こんな人はいない」と思ってしまう。その後もとにかく独り言の範疇を越えた吐露、吐露、吐露...
あと、靴に関しては実際にしばらくの間履いてもらって撮影に臨んだとの事。ちなみにそれは製作陣の指示によるもの。ただ、そうするのであればそれらをもっと徹底してほしかった。監督も意識したらしいけど、原作の主人公はやさぐれた喫煙女性。にも関わらず、永野芽郁はどっからどう見てもやさぐれて見えない。コートも部屋も綺麗なもの。これについては演技でカバー出来る限界があった。そして、その事に早々に気付き、もっとやさぐれて見せるべく現場努力(製作陣側の)が必要だった。良い演技をしているだけに惜しい。
映画化への情熱。
原作における重要なメッセージを伝えたい想い。それは伝わってきた。しかし、その熱あらばこそ、冷静さをもって俯瞰でみるべき視点の重要性。それを良くも悪くも感じる作品だった。あとひとつ言えば、主人公は奈緒にこそやらせていたら、とも正直思ってしまった。
「Destiny to love (愛する運命)」
ささやかな幸せ かけがえのない事
だけど今 理解っても遅い春の様
帰らない風景 そして君の笑顔
宝もの なつかしさが矢の様に飛んでく
愛情も
変化する
確実にあなたは消えてしまった
ここから
忘れないよ 永遠に
輝きを失くさず
こらえきれず落ちてゆく 涙さえ恋しい
時に夢の結末は誰よりもやさしい
明日の謎 解いてゆく
あなたとはずっとDestiny to love
Song by. trf