ひろるーく

マイ・ブロークン・マリコのひろるーくのレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.3
シィちゃん(永野芽郁)とマリコ(奈緒)は子どもの頃からの親友同士。
マリコは日常的に父親(尾美としのり)から虐待を受けており、身体に傷や痣がある。
暴力はやがて、父親からの性的な虐待へと進んでいった。

高校時代、マリコはシィちゃんの前で自傷行為をしてみたり、マリコに彼氏ができたら死ぬなどと、少しずつ壊れ始める。

そのくせ、マリコは彼氏をつくり、それも父親のようなDV彼氏をつくり、傷や痣が耐えない。どんどん壊れていく。
作っては暴力を振るわれ、作っては暴力を振るわれる。
それで、一人になると、シィちゃんに連絡をしてくる。そして慰めてもらう。
つまり、めんどくさい女になっていた。

そしてシィちゃんは、ブラック企業で営業職。上司からパワハラを受け、やさぐれる。
というか、シィちゃんは高校時代から喫煙し、使う言葉も「ダチ」やら、「・・・っすわ」などと、ずっとやさぐれていた。
見た目はふつうだが、不良性を内在した女性である。
昭和風にいうと蓮っ葉。それでもいつもマリコに目をかけ、守る。

ある日、マリコが自殺する。
シィちゃんは、彼女の家を訪ね、父親の元からマリコの骨壺を奪い取って逃げる。
そして、いつかマリコが行きたいといっていた海へ…。

そんなストーリーです。

タナダユキ監督は、僕はやはり「百万円と苦虫女」が好きで、以降の作品はさほど印象にないです。。
「百万円と苦虫女」って、2008年なのね。15年前か。

この作品も、映像はタナダ調。低コントラストで、緑がかった色彩。美しいです。
そしてたぶん、永野芽郁の演技がこの作品の挑戦なのだと思います。
どちらかというとほんわかした癒やしを醸し出す永野芽郁が、乱暴な言葉を使い、めんどくさい友情を処理し続ける。
友情を守るとか、友情を大切にするとかじゃなくて、しかたのない友情というものを処理し続ける感じに近いですね。

作品としては、僕は今ひとつ楽しめませんでした。
90分ほどのコンパクトな作品にまとめた手腕は素晴らしいと思いますが(映画は長ければいいと思わないです)、やはり薄っぺらい作品に感じました。
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