【あらすじ】
文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞に輝いた平庫ワカのコミックを映画化。
長年にわたり父親から虐待されていた親友の死を知った女性が、遺族から遺骨を奪って旅に出る。
気の晴れない日々を送るOL・シイノトモヨ(永野芽郁)は、親友・イカガワマリコ(奈緒)が亡くなったことをテレビのニュースで知る。
マリコは子供のころから実の父親(尾美としのり)にひどい虐待を受けており、そんな親友の魂を救いたいと、シイノはマリコの遺骨を奪うことを決断。
マリコの実家を訪ね、遺骨を奪い逃走したシイノは、親友との思い出を胸に旅に出る。
【感想】
原作は知らず映画をみました。
永野芽郁さん演じるシィちゃんが奈緒さん演じるマリコの自殺を知ったところから話が始まります。
結果としては煮え切らない映画で、今もモヤモヤしています。
映画が終わってからも頭で考えを巡らせてしまっているのはある意味、製作側としては成功なのでしょうか...笑
普段はご想像にお任せします系の終わり方も好きですが、この映画は全体的にモヤモヤします。
題材がメンヘラ、暴力、友情、依存、自殺なので重々しく、演じる側も観る側も考えさせられます。が、観る側に考えさせすぎです。
まず主要キャストについて自論を述べます。
前提として皆さん実力派なので演技力自体は素晴らしいです。
シィちゃんはガサツな社会人女性、マリコはメンヘラなのですが、奈緒さんはメンヘラ役が本当に自然でハマり役です。
シィちゃんですが、やさぐれ具合が永野芽郁ちゃんとマッチしていない感じがしてしまいました。
これは演技力の問題ではないです。
人は生きていると環境の影響を受けますが、そうして生まれたドロドロした部分というのは演技力だけでは補えない滲み出るものだと思っています。
永野芽郁ちゃんは役作りで数ヶ月タバコを吸ったり相当努力されたと思います。
ですが、私はこの映画をみて永野芽郁ちゃんは年相応で純粋な方なんだなと感じてしまいました。
高校生シーンや包丁を持って泣き叫ぶシーンはとても自然で引き込まれます。
ただ、それ以外のシーンには素直さが滲み出ちゃっている気がします。
《内容について》
小さい時から大人になってもやさぐれシィちゃんがメンヘラマリコの心の支えという関係に見えて実は、シィちゃんの方がマリコに依存していて、心の支えがメンヘラマリコで、マリコを支えることがシィちゃんの生きる道みたいになっていましたと。
そんなマリコが遺書もなく自殺したから怒りや悲しみなどが爆発しつつ記憶を頼りにマリコの面影を追いかける。
最後にはマリコの遺書を受け取り、マリコの死を受け入れ、マリコ依存から解放された、というように大筋の解釈をしました。
シィちゃん側の家庭環境をもう少し掘り下げて描写してほしかったです。
学生の頃の家庭環境は友情関係、人間性に影響があります。
メンヘラマリコは救いようのない家庭環境が故にぶっ壊れマリコになっていますが、シィちゃんの場合は親が離婚したという言葉だけです。
これが2人の共依存具合を想像させづらくしています。
シィちゃんの背景描写がないのでぶっ壊れマリコが重すぎるのです。
マリコの遺骨を奪うシーンは良かったです。
奪った後、昔話した海に行きます。
マリコから貰った手紙たちや居合わせたJKをきっかけにマリコとの思い出が呼び起こされます。
ここら辺は、旅してる感があるので、まぁ良いです。
窪田さんが演じている男が出てきた辺りからう〜んという感じです。
男の役割が物語を軽くした気がします。
彼が言う「結構死ねないんですよ。ここ」に続くセリフで、人助けをする善人という訳ではなく、生き残って初めて解る事があると押しつけがましくなく示唆します。
親友が死んでも生きているものは進まなくてはいけない、酒に溺れたり歯を磨いたりと男がきっかけで生活というメッセージを受け取りました。
ですが、男を登場させずにひたすらマリコの遺骨と向きあうシィちゃんの方が深い気はします。
1番訳分からんかったのは、旅先でシィちゃんの荷物をひったくった犯人がJK襲うんか〜いてとこです。
題材が重いと少しの矛盾も気になるので、この映画は詰めが甘いと感じました。
ストーリー 2
演出 3
音楽 3
印象 2
独創性 3
関心度 3
総合 2.8
17/2024