とらキチ

少林寺 4Kリマスター版のとらキチのレビュー・感想・評価

少林寺 4Kリマスター版(1982年製作の映画)
3.8
🎶少林〜少林〜
コレぞ本物!全国武術大会で5年連続チャンピオン、中国の至宝といわれたジェット・リーの記念すべき映画デビュー作。当時18歳!カワイイ顔して動きがメチャクチャ早くてキレッキレ!ホント観ていてスゴいし楽しい!
ちょっとホモソーシャルな薫りも感じてしまう寺の兄弟子達も本物の武術家達でこれまた動きがスゴい。そしてタン師父の山のように高く、海のように深い慈悲の心、抱擁力には感服させられる。特にこの師弟達のエピソードで笑えてしまうというかスゴいのが、師父の娘の愛犬を主人公が誤って殺してしまい、埋葬しようとするが、腹が減って仕方ないので焼いて食べようとしてしまう(!)。そこに少林寺の兄弟子達が集まってきて俺達にも肉を食わせろ、という話しになる。そこで驚くのが、師父が「たまには肉を食べなきゃ元気が出ない」と言って、皆に勧めて食べてしまうところ!もちろん僧侶なので肉食戒があるのだが、師父の「御仏が心にいるならば、酒も肉もよし…」という方便でなんとなくやり過ごしてしまうのだ!戒律と言えば、当然“殺生戒”もあるので、少林拳は本来自衛の為にしか許されないのだが、劇中のこんな感じの方便で、相手を倒す大義名分にもなってしまう。
勧善懲悪のスカスカなストーリーそのものは置いておくとして、個人的にちょっと残念だったのが、修行パートがほとんど描かれなかったところ。春夏秋冬の背景をバックにしたセットでの演舞は素晴らしいものがありましたが、やっぱり人間離れした無茶苦茶な修行シーンを見せて欲しかった。まぁ、既にその道の達人の皆さんが出演していたのでそんなシーンの必要性が無かったのかもしれませんが。そうやって考えると個人的には「少林寺三十六房」の方が作品として充実していたなぁと思ってしまう。
「ハッ!ハッ!ハッ!ハイ!ハァ〜イ!」
の掛け声とともに、バケツを両手に高く持って走ったり、 ほうきで棍術、牛乳を飲みながらの酔拳… 更には校庭の遊具から飛び降りながらの蟷螂拳!こんな感じで次の日の学校でみんなで「少林寺ごっこ」をした、そんな思い出が甦ってきました。
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