このレビューはネタバレを含みます
構図と俳優さんの演技がとても美しかった。
冒頭のワンカット、壁の穴から土とロバとパンしたら雪、この演出で「うわっ」と引き込まれました。
季節ごとの植物やや農作業の移り変わりが丁寧に描写されていて、まさにその土地の物語を見ているようでした。
住んでは家が壊され、
中の人を含めた生き物が見えず進んでいく社会と、その関係が分かりやすく描かれていたと思います。
こういう話はリアルであるものだと思いつつ、
麦の種で花を作ったり、手作りレンガを円形に並べて乾かしたり、鶏の卵の家を段ボールでロマンティックにしたり、村の老人が集まる橋の小話だったり、、、
映画的な絵画的な画作りも意識していて美しかった。
俳優さんの慣れた手つきで麦刈りをしていたり、震える手と曲がった背中で必死にバケツを持ったりと細かい動作も役に浸透しているのも。
順調に行った後の展開が、
ほぼ絞られてきてやっぱりクイイン死んじゃうかあ、と思ったらすぐカットしてくれて、ヨウティエは死んでほしくないし死んだ画より苦悩してる画の方が見たいと思ってたらそうしてくれた。
マンションで1人のシーンも見たかったですが今回のテーマ的に無い方が良いですよね。
ラストは色々と考えられるようにしたのかもしれませんが、僕的には現実的な結末と考えたいです。
家も全て売って、ロバに乗って市内で暮らす。
麦の花のインサートも「ここで出会い暮らし終わる(土から生まれて育てられ刈りとられる)。