みゅうみゅう

小さき麦の花のみゅうみゅうのネタバレレビュー・内容・結末

小さき麦の花(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

スクリーン鑑賞して追記しました

WOWOWオンデマンド/
中国の地方の貧しい農村が舞台。年のいった四男ヨウティエ、身体に障害のある未婚のクィイン、この両家にとってお荷物的な存在の二人が見合い結婚で夫婦になる。厳しい自然と対峙しながら互いに寄り添い支え合い生きるさまは、貧しいけど美しい。

行政の容赦ない農村改革、村の中でも貧富の差が大きく不条理なことも。それでも、二人が苦労して開墾から収穫を迎えたり、家を自力で作り、家畜を楽しみながら増やす。幸せとは何かを考えさせられる。人の真の強さとは、優しさなんだろう。誰かのために生きる、誰かと生きる、生きる励み活力とはきっと愛なんだな。
衝撃的な展開に唖然とした。淡々と描かれているけれど、ヨウティエは何処に行ったのかな… 町の斡旋された住宅には一人で住まないよね。彼は全てを手放し土に還ったのかな… 原題「隠入塵煙(Yīn rù chēn yān)」/英題「RETURN TO DUST」がズバリの作品。

スクリーン鑑賞したかった作品。スケールの大きな美しいカットが多くて、絶対スクリーン向きだった。

追記:高田世界館での上映会がありスクリーン鑑賞(2回)/
懐中電灯や漏れる灯り、ど田舎ならではの昼夜の明暗の差が際立つ。スクリーンで楽しみにしていた砂漠や麦畑や日干しレンガのシーン、だけど背景の見切れた部分とか窓の奥の動きや視線の先に散りばめられた伏線が浮かび上がる。ツバメもそう。二人の会話や初めての夫婦喧嘩、仲直りの麦の実、最後の晩餐は玉子、遺影の前に置いてある赤いキャップのボトル、貴英ではなく有鉄の震える手。抑えた感情が溢れたのかと思っていたけど、整理した家の中で枕を置いて横になった時点でわかる。貴英が青い麦の葉で折ったロバは色が変わって色が褪せていた。その芒が伸びた麦の実二つがアップに… これタイムラプスになってて窓の向こうは時間経過or季節が巡り、そしてあのラスト。隠入塵煙のタイトルどおりだと思います。最高の作品、愛も死も静かに流れるように見せてくれる。
みゅうみゅう

みゅうみゅう