真魚八重子

小説家の映画の真魚八重子のネタバレレビュー・内容・結末

小説家の映画(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公は売れっ子作家だったのに、しばらく執筆していないジュニ(イ・ヘヨン)。彼女が旅先に後輩を訪ねて、色々な人と出会う映画。
ジュニは女が一人で名を売ってきただけのことはあり、気性のきつい部分がある。彼女の小説を映画化したいと言っていたのに、実現しなかった監督のクォン・ヘヒョに会うと、嫌味を言って気まずくさせたりする。新しい語り部として、気の強い初老の女性は面白いかも。

キム・ミニが素晴らしい。役柄は今は俳優業から退いているギルス。ジュニもギルスもなんとなくこれまでの仕事から距離をとっていて、似た境遇にあるせいか意気投合する。ギルスに執拗に「もったいないから俳優業に戻ればいいのに」と言い続けるヤツのウザさ。

ジュニが短編でいいから監督をしたいと言い、ギルスがドキュメント的に出演することになる。野の花をブーケのようにして、カメラに唇を突き出して愛してるというキム・ミニ。ホン・サンスが撮ってると思うと怖い、何か策略があってくれと思う。

その映画を一人きり、試写で観るキム・ミニ。ジュニは出てくるのを待っているはずが、ちょうど屋上に煙草を吸いに行っていて、観終わったとき外には誰もいない。この、劇場から出てきたときのキム・ミニの表情がすごい。わたしには(何してくれてんだ)という顔つきに見えたけれど、他の皆さんはどうだろうか。
真魚八重子

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