tokiwa3256

小説家の映画のtokiwa3256のレビュー・感想・評価

小説家の映画(2022年製作の映画)
4.2
『小説家の映画』
監督・脚本・撮影・音楽・編集・制作
→ホン・サンスwww 凄い!

この映画、もしも自分がホン・サンス監督の初鑑賞作品であったとしたら、果たして面白い!と思えるか甚だ疑問だ。恐らく爆睡していたはず...
今作品もベルリン映画祭銀熊賞らしいけれど、審査員は全てのホン・サンス作品を観た上でのこの評価だろうしね。

個人的には作品の細部を考察するというよりも歌舞伎の大見得を楽しむような感じになっている。
最初の本屋カフェから例のメガネのおばさん(優しそうに見えて相変わらず怖いキャラ)が出てきた時には「キターー!」ってなったし、(実生活で現実に夫婦でもある)パク監督夫妻との会話なんて、前作をパロっている部分もあったりして、終始ニヤニヤが止まらなかった。
挙げ句の果てに、詩人のおじさん(これは予想していた)が出てきた時には「待ってました!!」って声がでたww
後輩であるおばさんは、せっかく会いに来た作家の主人公を本屋のイベント?に誘っていないところや、店員の女性が繰り返すセリフなどは、ホン・サンスの脚本らしくて面白い。その店員との手話の場面は、ベルリン映画祭の審査員をしていた濱口竜介監督への当てつけ、という論評があったが、確かにそうかもしれない。
そういえば、あの窓の女の子は一体なんだったんだろう??もしかしたら、監督自身がキム・ミニ似の女の子を授かりたい、という願望だったりして。そこからのビビンバを勝手に食べるところが最高w

最後の映画のシーンなんて監督自身の(世間にどんなに後ろ指を刺されようとも)決してブレないキム・ミニへの本気の愛が...もはや呆れるのを通り越して本気で感動してしまった。
でも、オーラスでキム・ミニが困惑した表情のまま終わるところが一筋縄ではないんだよなぁ。

映画内でも監督役に語らせているように『逃げた女』あたりから作風が明らかに変わってきているが、個人的には昔の「どうしようもない」作風でまた撮って欲しい。
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