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ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュのmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.6
渋谷のマスコミ試写にて。

実話に基づく話。
日本で言うと北朝鮮の拉致問題とかが近そうなテーマ。

9.11のアメリカで起きた同時多発テロのすぐ後に、ドイツ在住のトルコ移民の息子が突然旅に出た後パキスタンで“タリバン”の嫌疑をかけられて捕まり、各地を転々としてキューバのグアンタナモ湾にある米軍基地に収監されてしまう。

9.11での出来事が念頭にあったりして、アメリカの国内情勢や政治、“疑い”に対しての嫌悪、国民感情、そして、外交、、、もろもろもが影響して無実のはずの息子を返してもらえない家族の、母親の長きに亘る奮闘を描く。

グアンタナモでは今もなお、同じような境遇で収監されてしまっている人がいるらしい。

“嫌疑”であり、あくまで疑いの範疇であるにも関わらず、人によっては身に覚えすらない疑いによって長きに亘り収監され、酷い目に遭っている。

アメリカの“テロに屈しない”という強い意志が逆に生んでしまっている影の部分のような話に感じる。

唐突に旅行に行くと1本の電話をよこして消えた息子。
そこから間もなく何かの容疑で海外で捕まったことを知る家族。

そこから警察、検察、弁護士、外務省、そして米国。
あらゆる人と手段を辿って、巻き込みながら何とか息子を取り戻そうとする母の奔走。

普段は冗談ばかり言ってる賑やかな母親。
しかし、まったくの無実で不当な扱いを受けながらなかなか戻ってこない理不尽さと苛立ち、、、。

あまりにも長く険しい道のりにその母親の気持ちすら挫けかける辛さ。

その過程で弁護士がとても親身になってくれて、光を見出す。
一方で“嫌疑”により向けられる心無い扱いもあったり。

この家族に起きている出来事を広めるために公の場に立ったり、ワシントンまで出向いたり。
ついには、当時の米国大統領“ジョージWブッシュ”を手続き上、訴えることになったり。

ただのドイツに住むトルコ移民系の主婦が、他国のトップに物申す事態にまで至る実話。

テロに対する感情や、国を跨いだ政治外交、その他もろもろの手続き、法律、、、。

ただただ息子の帰りを望んでいるだけなのに、得体の知れない大きなモノに飲み込まれていく様子がとても印象的。

母親のキャラクター的に笑えるシーンも散りばめられているが、テーマや背景がそんなモノなだけに、辛く苦しい戦いの日々の方が強めの作品。

どんどん進んでいくのは“時間”だけ、と言わんばかりに経過日数が進んでいくのもなかなかジリジリと切なさを募らす。

コメディ要素もありながら、世界的に根深い人間の尊厳に関わる問題に切り込む実話ベースの物語。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
皆さん、時間がある時にでも見に来てください。
(まだ始めたばかりでお粗末が過ぎるブログですが)
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