叡福寺清子

ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

3.3
予告からはドイツ在住のトルコ人肝っ玉母さんが,米国相手に訴訟起こし無事グアンタナモから息子を取り戻す痛快コメディな印象を受けますが,実際は遅々として進まずついには母親まで疲弊してしまう,なかなかに塩っぱい物語でした.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.

前述したようにドイツ在住のトルコ人青年.トルコにいる嫁に会いに行ったところで,アルカイダとの関与を疑われ,キューバ領のグアンタナモに収容.問題が複雑過ぎです.杉田玄白か杉田智和ってくらいに複雑です.そして肝っ玉母さんは状況がよく分かってません.ただただ息子に会いたいという,苔の一念岩をも通す精神で突き進みます.実作業は全部弁護士さん頼みです.しかもボランティア.むしろスゴいのはこっちの弁護士さんじゃないか思っちゃいます.作中ずっといい人でしたけど,「この裁判に勝ったらオレすごい名声得られるやん」って下心があってくれたほうが安心するんですけどね.

結局息子さんが戻ってくるまでに,約五年の歳月を用したわけですが,政府としての動き,特に米国の反応をあまり描いていなくって,個人的にはそういう政治的駆け引き観たかったなと思った次第.というか,肝っ玉かあちゃんと弁護士さん以外の情報が全体的に薄口でしたなぁ.

にしても,左派政権がいざって時には冷酷になるってのは,一番笑えるところでした.