クリーム

苦い涙のクリームのレビュー・感想・評価

苦い涙(2022年製作の映画)
3.7
主演のドゥニ·メノーシェは、「ジュリアン」の怖い父のイメージが強く、本作の様な役は意外でした。簡単に言うと恋に狂ったキモいおっさんの空騒ぎ。どう観るべきか難しかったです。主人公には嫌悪感しかなく、親友や秘書には面白みを感じる。あくまで、私個人の感想は、脇役2人に注目すると楽しめる作品でした。

著名な映画監督ピーター·フォン·カントは、スランプ気味。 無口で従順な助手のカールが身の回りの世話を甲斐甲斐しくこなす。しかし、カールの扱いは酷くまるで奴隷扱い。ある日、元妻で親友の大女優シドニーが美青年アミールを連れて会いに来た。 一目でアミールに恋したピーターは、彼をスクリーンデビューさせるといって同居させ、なりふり構わずアミールに恋をするのだが…。



ネタバレ↓



とにかく、オッサンは、金にモノを言わせ、アミールを自分の思う様にしたい。自分と同じだけアミールにも愛して欲しい。しかし、アミールは最初から、妻がいるし、何でも言いなりのピーターは都合の良い金づるでしかない。ある日、アミールの妻がやって来るので、飛行機を取って、お金もくれと言うアミール。これには、我慢出来なかったピーターと喧嘩になり、アミールは出て行った。戻って来るとは言っていたが、ピーターの誕生日に電話もよこさない。
ピーターの誕生日を祝おうと娘とシドニーと母親がやって来たが、失意のどん底にいるピーターは、彼女達が煩わしく、酔った勢いで、プレゼントを放り投げ彼女達に暴言を吐く。シドニーには、仕事を貰いたくて寄ってくるだけの落ち目の女優だと言い。母親には、金をせびって来る娼婦。娘には子供のくせに黙れと…。アシスタントに酷過ぎると言った娘の言葉に「彼は好きで服従している」と言い放つ。
シドニーも娘も出て行ったが、母だけは可哀想な息子をなだめた。
落ち着いた頃、アミールから電話がかかって来た。その誘いを断ったピーター。
その電話をさせたのは、シドニーだった。シドニーの余韻、良かったです。
そして、自分の行動を反省したピーターは、カールに謝りたいと言い、迫った所、カールは顔面にツバを吐き、出て行った。よし、カール良くやった!おしまい。

シドニーとカールは、面白かった。
シドニーは、わざとピーターとアミールを引き合わせたハズ。横柄な男なので、怒りを買っていたとしても不思議じゃない。カールは、ほぼ喋らず、ピーターの言いなりだったのにラスト、ピーターが優しくしようとすると怒って出て行く。カールは可哀想ではなかった。ピーターのドSを楽しんでいた。ドSで無くなったピーターに幻滅して出て行ったのだろう。カールの存在はかなり面白かったです。これは、主人公より、脇役のカールとシドニーを楽しむ作品だった。ピーターは、ムカつくけど2人は楽しかったです。
イザベル·アジャーニの化粧が厚くて上沼恵美子ばり。あんなに塗ったくらなくても美しいのに残念だった。
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