Haruki

苦い涙のHarukiのレビュー・感想・評価

苦い涙(2022年製作の映画)
3.8
フランソワ•オゾン監督がファスビンダーの『ペトラ•フォン•カントの苦い涙』を現代版にリメイクした作品。

主要なキャラクターを男性に変更し、ファスビンダー作と同様に愛の本質をあぶり出している。

監督として成功しながらも、深く孤独や不安を抱えているピーター。

エゴイスティックで依存的な愛を向ける姿は、人間の普遍的な愚かさ、醜悪さ、そしてある種の美しさを露呈させる。

ドゥニ•メノーシェの演技はさすが。

ファスビンダー作に比べてカットが多かったり、カールのタイプする音が小さくなったり、より映画的になっている。

ただ台詞はけっこうファスビンダー作と同じで、二番煎じ感はある。

作品時間も短いためにコンパクトにまとまってはいるが、キャラクターたちの会話が深掘りされていない感じも受けてしまう。

その結果、メロドラマ感が強まってしまったかも。

カールのラストの行動の改変も、わかりやすく力強くはなったけど情緒は削がれた印象。
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