ピロシキ

午前4時にパリの夜は明けるのピロシキのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

優しさで二度保護されて二度出ていったタルラ。一度目は叱ってくれる人のいるマチアスの幸せ、二度目は幸せな家族の中に自分がいて、さらにその一人とより深い関係になりかけている幸せ、幸せに対する恐れがあったんじゃないかと思った。そこに幸せはないのに、ついつい手を出してしまうクスリと孤独な生活。

母親が繊細さを恥ずかしげもなく出すあたりなどは、家父長制の強い日本とは異なる文化を感じた。家父長制では親に対してまず「敬意」を抱きがちだが、映画内で「どうしたらいい?」と息子に聞くなど対等な関係は「愛情」により繋がるのではないかと感じた。

タルラは、家族に何をもたらしたのか、などははっきりとは描かれていなかったが、この物語で存在感の大きいキャラクターであったと思う。もう少し出てきてほしかった。

時折出てきたフィルム描写などは80年代感を出したいのだろうが、どこかまとまりがなくて好きになれなかった。ただ、マンションの部屋の角の窓ガラスから見える風景と色はとても美しく映画の中でもアイコニックだった。
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