コーディー

午前4時にパリの夜は明けるのコーディーのレビュー・感想・評価

4.1
夜をただ通り過ぎてく灯り、その時は気付かなかった光も知らぬ間に人生に影響している…
夫に去られたエリザベートと二人の子供、そして家出少女タルラ。深夜ラジオが繋ぐ交流を見つめながらも感情的な演出を尽く排した展開、けれど響いてくる変化と夜明け。凄く好き!

心に傷を負う者同士が寄り添い人生を立て直す…って展開とも一味違うし、どう影響しているのか曖昧なまま数年間の時の流れを捉えてる。なので繋がりや筋道が掴み難いし何もなかったかの様にさえ見える。
けれどそんな事情や内面の変化を言葉ではなく空気で匂わせるアース監督の抑えた表現が堪らない。

そこに至る過程を大胆にカットしたりと下手したら淡白な物語になりそうなのに、そんな気まぐれさえも人生wな答えの無さに優しく包まれる感覚。
80年代パリの記録映像を挟みながらの街の息遣い、夜を漂う感じも心地良いし『サマーフィーリング』同様に通り過ぎてから見えるこれまでと、これから。良い!

いろんな辛い事が起こる人生の中で、決して壊されない私に出会って前に進む!ってのは監督の過去作にも共通してるけど、今回は哀しみよりもシャルロット・ゲンスブールの繊細でエレガントでキュートな魅力が夜にキラキラ輝いてた。
まあ個人的には『サマーフィーリング』の方が好きやけどw