あまのうずめ

午前4時にパリの夜は明けるのあまのうずめのレビュー・感想・評価

2.5
1981年5月10日。ヴァンダによる深夜ラジオ“夜の乗客”が始まる。パリではミッテラン政権誕生に湧き花火が上がる。1984年、夫が家を出て娘ジュディットと息子マチアスと暮らすアパートをエリザベートの父が訪ね娘を慰める。エリザベートは今まで働いた経験がなかったが働かなくてはと言う。幾つかの就職に失敗するエリザベートだったが、ヴァンダの番組の電話を受付ける仕事に就くことになる。


▶︎『アマンダと僕』のミカエル・アースの長編4作目。前作、前々作が好みのど真ん中で今作も期待して観たが、期待値が高かったせいもあるのか拍子抜けした。

言わんとしていることやテーマの大きな部分の『他者は過去の自分』というのに共感するものの、ナヨナヨしてる姿が気持ち悪かった。二人の未成年の母が家出娘を住まわせるのかというモヤモヤも本編では解消されず、ネタバレを避けて言うと二度目の宿泊をさせる際の選択肢との整合性もないまま。

受け入れることだけが優しさではないと思うワタクシは古い人間なのかと自問させられるいい機会にはなった。そして全編を観て母であっても強くなくていいと、父や娘に慰められるエリザベートを映すことで監督ならではの寄り添う姿勢が観て取れた。終盤に1981年のシーンの意味が判明する仕掛けも良い。

シャルロット・ゲインズブールがお母さんに益々似てきて、デビューの少女の頃を改めて思うと感慨深く思う。プリンが出てレコードに合わせて踊るシーンが特に印象的だった。