LalaーMukuーMerry

息子のまなざしのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

息子のまなざし(2002年製作の映画)
4.3
少年犯罪者たちを更生するための職業訓練校で木工を教えるおじさん(オリヴィエ)と、少年院を出て彼のもとへやって来た一人の少年(16才)のお話。
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ドキュメンタリータッチのめっちゃ地味な感じで始まるのですが、その少年と先生の間の隠された関係がわかると、観客の側に鮮烈な緊張が走ります。
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同じタッチの淡々とした映像が続いても、教師と教え子であると同時に、被害者と加害者でもあるという関係を知った観客は、このまま何もなく終わるはずがないと息をのんで見続けることになります。それを知らないのは少年だけ・・・
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11歳の時に罪を犯し、大切な時期を5年間も少年院で過ごした少年は、親に頼ることもできなくなっていて、仕事を教えてくれる先生に信頼を寄せるようになってきた。そんな頃に、先生のひと言から一気にクライマックスへ・・・
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復讐するのではなく、赦して更生を後押しするというメッセージ。頭ではわかっていても、いざ当事者となったらそんなきれいごとだけで納得がいくはずがないと想像する。きれいな言葉になればなるほど、擦り切れてうつろに響くもの。言葉などなくして演技だけの方がより強く伝わることもあるのですね。
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地味だけどとても引き込まれる作品、凄い映画でした。