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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのchiのレビュー・感想・評価

3.7
試写会で鑑賞させていただきました。1968年〜1973年の中絶が違法だった時代のアメリカを舞台に、秘密裏に中絶処置を行っていた団体ジェーンの実話を基にした作品。このテーマを描いた作品ではこれまで「あのこと」「ヴェラ・ドレイク」を見ていて、私自身とても関心があります。
本作は2022年の作品ですが、アメリカでは2022年に中絶を合法とした判決が覆されており、製作された当時とは状況が一変していることを踏まえると、性別問わず見て考えてほしいテーマです。
上映後のトークでもありましたが、本作は「あのこと」や「ヴェラ・ドレイク」よりもエンタメ的に大衆が見やすいように作られいるので、その点でも多くの人に届くことを願う。
個人的には「あのこと」や「ヴェラ・ドレイク」の方が好きだが、本作はお金のことで議論しているシーンを入れたところが非常に良かった。お金のない人はどうするか。無料で受けられる人をどう選ぶか。命や人生に優劣を付けるのか。その権利が自分たちにあるのか。公平と平等の議論に通ずるところもあると思ったし、このシーンについては見て議論してみてもいいかもしれない。トークの最後で佐久間先生が円盤化したら授業の教材に使いたいと仰っていたが、まさに大学の授業での議論に向いてる作品。

佐久間由梨先生(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)、森直人さん(映画評論家・ライター)登壇トーク付き。ユーロライブにて。
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