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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのganaiのレビュー・感想・評価

4.0
重いテーマの割に楽しく観られる映画でした。

人工妊娠中絶が違法だった1968年のアメリカ。刑事事件弁護士の妻で妊娠初期のジョイは、心臓疾患で出産に命の危険が伴う事を知らされ中絶を決意するが主治医の病院では認められず、一人で闇医者に駆け込むが恐怖心から引き返す途中で「妊娠に悩む女性はジェーンに電話して」という貼り紙を目にして助けを求める。

フランス映画「あのこと」は望まない妊娠をした女性が当時違法だった中絶をするまでの経緯を丹念に描くものだったが、本作では冒頭30分もかけずにそれが描かれる。

映画はさらにその先、ジョイがシガニー・ウィーバー演じるバージニアをリーダーとする地下組織「ジェーン」に加わり、困窮する女性たちを救いやがて女性が自らの意思で中絶する自己決定権を勝ち取るまでを時にユーモアを交えて描いていく。

印象的だったのは映画冒頭でジョイの中絶の可否を決議する病院幹部会議(全員男性)が、彼女本人が同席しているにも関わらず意思や健康状態を一切無視し、法の定めと病院の体面を優先して却下してしまうところ。

この問題に限らないが当事者の透明人間化が見事に描かれている。そして多くの場合決定するのは男ばかりだというところも。
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