ノラネコの呑んで観るシネマ

PARALLELのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

PARALLEL(2021年製作の映画)
4.3
アニメコスプレの連続殺人鬼が恋したのは、かつて女装殺人犯によって、毒親の虐待から救われた少女。
端的に言って大怪作だ。
芳村宗治郎演じる殺人鬼は、匿名創作者として、「人造魔法少女カイニ」というアニメのストーリーを作っている。
そして彼の原点とも言えるのが、女装殺人犯なのだ。
事件に触発されて創作と殺人を始めた男は、いつしか“あちらの世界”に行きたいと願う。
そして現実と虚構の境界を破る触媒となるのが、楢葉ももな演じるヒロインというわけ。
この手の虚構の仮面をかぶるシリアルキラー自体には既視感があるのだが、この男は自らの作った虚構こそが真実の世界であるとピュアに信じ込んでいる時点でかなり特異。
似た作品が思い浮かばないが、あえて言えば救いの無さも含めて「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」の男女逆転版かも。
脚本段階でかなりロジカルに考えられている作品で、荒っぽい部分は残るものの確実に2023年の日本映画に爪痕を残した。
やってること見たら登場人物は皆んな非共感キャラなのに、ギリギリ理解出来るように作ってあるのは分かりやすい寓意性のおかげだろう。
チェンソーマンチックな魔法のステッキ(?)がステキ。フィギュアが出たら欲しいかもw
エンドクレジット後に長めのアニメパートあり。
まあ低予算なのは見るからに明らかなんだけど、「まどマギ」を通り越して「リミットちゃん」まで行ってしまった世界観は、ちょっと面白そう。