しの

MEG ザ・モンスターズ2のしののレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)
3.4
前作はステイサムvsサメの謳い文句の割に小さいスケールが不満だったが、今回は盛りまくってきた。もはやサメ映画なのかも怪しい何かの中でステイサムのキメ顔が燦然と輝く(ワーナー・ブラザース映画様から試写に招待いただいたので鑑賞)。

サメ映画というより、パニック映画のB級ごった煮を観に行く心構えの方が良いと思う。そもそも諜報員的な活躍をするステイサムの肉弾戦から始まる時点で、あまり前作が意味をなしていない。特に前半は深海ホラーが始まったかと思えば対人間のアクションが始まったりでやりたい放題。

クライマックスでようやくサメ映画らしくなるのだが、どちらかというとモンスターパニックの物量で攻めている。陸ではジュラシックパークをやって海岸では怪獣バトルをやって沖ではステイサムがサメと戦って、しかもそこにステイサムを恨む因縁の相手が乱入してきたりするというカオスっぷり。結局ストーリーも全てこのカオスに吸収されるので笑う。

というわけでコンセプト的な統一感はなく、物語をまとめる気も一切ない。前半でやけに時間をかけて描いた人間同士の思惑の交錯が面白いほどぶん投げられるので、それなら最初からもっと景気よくやってくれよとはなるかもしれない。ステイサムがバケモノという一点だけがブレないのだ。

そしてここまで物量が過剰になってくると、クライマックスはもはやショーを見ている気分になってきて、逆にスリルは無くなってくる。「サメとの絆は芽生えるのか」みたいな謎のサブプロットがあることからも分かるように、絶対的恐怖の対象としてのメグというよりは、ステイサムと曲芸をやってくれる相棒のような扱いになっていてもはや微笑ましい。リゾート地なんてお誂え向きすぎてサメの食事会場にしか見えない。その成分を補うための中盤のスリラーテイストなのかもしれない。色んなパニックモノの博覧会という感じ。

しかしこれくらい歪で整頓されていない、ステイサム力だけでまとまっている(のかも分からない)映画があっても良いよなと思う。極限状況での人助けのつるべうちが天丼ギャグに見えてくるところも含めて嫌いになれない作品だった。海底シーンを筆頭にカメラワークに難ありな部分もあるが、手製の槍でメグに飛びかかるステイサムは神話の一枚絵のようだった。少なくとも退屈はしなかった。
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