巣籠もり坊主

JUNG_E ジョンイの巣籠もり坊主のネタバレレビュー・内容・結末

JUNG_E ジョンイ(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

 前説のクドさと、その割に劇中にこの冗長なプロットが消化仕切れないまま放置されて話が進んでいくのが残念至極。いや、分かる、分かるんだ。その前説が無いと戦闘AI開発のスタートに立てないと思ったんだろうね。でもね、この作品の監督とスタッフ陣なら、もっと世界観をシンプルにできたんじゃないかなぁ。
 なまじ、環境問題その他に起因する地球脱出、人類の宇宙進出、結果としてのスペースコロニー自治権問題と必然としての内戦etc.が作中で語られる事も無く、深掘りされるでも無くAI開発の理由付けのみに雑に使われてるから肩透かし感がハンパなくなるのでは?
 アクションは派手だし、特撮のレベルも高いので絵面はGOOD!つまり、技術(テクノロジー)は確か。でもって、構成要素と筋立てとメッセージは、好き嫌い・賛否はともかく秀逸。と言うことは素材もOK。結論としては調理法(テクニック)に難ありってことなのだろう。
 前説の人類存亡を賭けた宇宙脱出と、後半の見た目ハリウッドばりに派手だが派手なだけのモノレールでのアクションシーンという前と後ろの派手目要素をぶった斬ってくれて構わなかった。少し地味でもラボの中の描写に全精力注ぎ込んで、娘(とは言え母より高齢💦)の葛藤を描く心理描写と、各種分野の倫理観を問うエピソード群、所長の秘密辺りに時間割いて丁寧に描き切って欲しかった。ラストは「母の逃亡」≒「誰の魂の解放なのか」を観客に問いかける形で終わってくれて良いので、佇む戦闘AI(義体は他作の専売では😅)の眼下に広がる地平と朝陽の組み合わせという描写は陳腐ながらもアリだろう。
 評価がイマイチ伸ばせないのは、良作要素満点なのにリキむポイントが絶妙に外れているためだ。惜しい、本当に惜しい。結果的には佳作止まり。誰にでもお勧めできるレベルに煮詰められてないまま世に出てしまったのは残念だなぁ。好きな世界観とクオリティなのに…マジ残念。
 あと、設定、デザインがどれもこれも既視感強いので、○○っぽい、○○パクり、○○と○○の合わせ技、とか言われがちだろうな、と思ってしまうが、それは確信犯っぽいまでの寄せ方だから監督のお茶目と受け取って良いと思う。
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