なべ

特捜部Q 知りすぎたマルコのなべのレビュー・感想・評価

特捜部Q 知りすぎたマルコ(2021年製作の映画)
2.0
 あー、もうがっかり。大好きなシリーズだったのに。
 キャストを総入替するなら、あまり前作のムードやタッチを踏襲しないでほしい。まったく違うアプローチでのリブートなら、こちらも気分を変えて観られるのに。

 カール? え、おまえカールなのか? ただの失礼な偏屈オヤジだと思ったぜ。「はい、わたしがカールです」みたいな顔して当たり前のようにそこにいるけど。正気か?
 カルテ番号64までのこの世の不条理をすべて背負い込んだ破滅型のカールはどこへ行った? ウルリッヒ・トムセンのカールは、人のよさそうな容貌と失礼な物言いがチグハグ。要するに全然カールじゃないのだ。
 事件の内容は確かに特捜部Qっぽいのに、カールがあんなんでは話が入ってこない。演出も奮わなくてたどたどしい。何度も挫折しそうになった。事件はいろいろ起こっているのにそれらが一向にリンクしないし、観客への手がかりが出るタイミングも遅い。ネタはおもしろいはずなのに、見せ方が下手なんだな。話が進んでいっても一向におもしろくならないのだ。
 聞くところによると、原作はシリーズ屈指の仕上がりらしい。特にタイトルになってるマルコのキャラがとても魅力的で、読者はマルコ愛しさでページをめくる手が止まらないんだと。だからこその「知りすぎたマルコ」ってタイトルなんだけど、映画のマルコは何も知らんやん!
 わざわざ原作をつまらなく改変して、人気のキャストまで変えて一体何がしたいんだか。おまえらイーロン、マスクか!Xか!
 アサドも一歩後退した感じで、カールとの関わりが薄くなった。あのとっつきにくいけど信頼できて、変わってるけど信用できるアサドはもういない。パートナーから脇役に降格されてしまった。次作「吊るされた少女」ではまた別の役者に変わるらしい。いやいやいや、元に戻そうって知恵は働かないのか? 旧キャストに戻さないならもう特捜部Qを観る理由はない。

 スコア2点は人気シリーズをキャスト・スタッフ総とっかえでつくった度胸に対して。
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