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すべての月の夜のchiyoのレビュー・感想・評価

すべての月の夜(2020年製作の映画)
3.5
2022/2/26
京都ヒストリカ国際映画祭のオンライン配信。1876年、スペイン北部。謎の女性に助けられ、永遠の命と引き換えに吸血鬼になった少女。女性が少女を助けたのは優しさよりも利己的な印象が強く、かつての女性には娘が居て別離を余儀なくされたのかも、と思った。が、何も知らずに吸血鬼になった少女はただただ哀れで、ひとりで自身のことを知っていく様が切ない。そして、年月が過ぎても少女は全く老いず、周りの人だけが老いていく悲しみ。中でも、生涯をかけて彼女を守った父親代わりの男性が印象的で、彼との別れがあまりに辛い。ただ、この男性にしても後に再会する元少年にしても、彼らを生かせる方法があるのに使わないのは彼女の優しさ。それだけで、如何に彼女が人生を辛いと思っていたかが分かる。解放感のあるラストが心地好く、彼女の人生の再生は始まったばかり。
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