APACHE

生きててよかったのAPACHEのレビュー・感想・評価

生きててよかった(2022年製作の映画)
4.6
【生きててよかった】感想

伏見ミリオン座で鑑賞🎞

長年の闘いで身体がむしばまれたボクサーの楠木創太は、ドクターストップにより強制的に引退を迫られていた。闘いへの未練と執着を捨てきれぬ中、恋人との結婚を機に引退を決意する。新しい生活を築くために仕事に就くが、何をやってもうまくいかず、社会にもなじめず苦しい日々を送る中、楠木のファンを名乗る謎の男から大金を賭けた地下格闘技へのオファーを受ける。一度だけの思いで誘いに乗ったのだが、久しぶりのリングで忘れかけた興奮がよみがえり、ふたたび闘いの世界にのめり込んでいく。その高揚感は彼にとって何物にも代えがたいものだった。

自身もプロボクサーという経歴を持ち、【南京!南京!】や【レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳】など中国を拠点に活躍する俳優の木幡竜が、リングでしか生きられない元ボクサーを演じる格闘アクションと、悲しいほど不器用な人間ドラマ。

この作品の為に体脂肪3%まで絞った肉体美と、元ボクサーの経歴を持つ木幡竜の格闘シーンに注目すべく見始めたのに、冒頭の試合後、ロッカールームでの演技に心を持っていかれた。

映画【ロッキー】に人生を狂わされた幼馴染の2人は、創太がロッキーに憧れボクサーに、健児がスタローンに憧れ役者になり、止められない夢に取り憑かれた人間の性をネタに、ゆっくり話が進んでいき、ジムの会長が語る引退ボクサーの話や、幼馴染の健児、嫁の幸子が語る言葉が、よく言えば寄り添っているけど、悪く言えば巻き込まれた人間たちの思いが詰まっているセリフに要所要所グサグサ刺さる。

出てくる人間像がキレイ事からは程遠く、底辺感がバリバリ出ていて、出演者全員の暑苦しいほどの熱演がドロ臭くて最高‼︎

素晴らしい所は、下ネタとエロ描写もガッツリ入れ込んでの映像表現があるので、バラエティに飛んでいて、全く飽きさせない。

もちろん、試合の迫力や練習シーンのコンビネーションのスピードも見応えがあり、鬼気迫る演技は「ボクシングが好きなわけじゃない、戦っている自分が好きなんだ」と感じさせる木幡竜。

最高の場面で「世界世界世界世界世界世界世界世界...」と連呼するところが一番シビれた。
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