梅ちゃん

生きててよかったの梅ちゃんのレビュー・感想・評価

生きててよかった(2022年製作の映画)
4.0
役立たずと罵られて
最低と人に言われて
要領よく演技できず
愛想笑いも作れない
死んじまえと罵られて
このバカと人に言われて
うまい具合に世の中と
やって行くことも出来ない

…はい。
ちょっと思い出したTHE BLUE HEARTSさんの〈ロクデナシ〉の歌詞を書いときますね😆✨

医者の警告によってリングを降りたプロボクサーの創太。
リングの外では何をやっても上手く行かない。
アスリートのセカンドキャリア確立の困難さを、その身をもって知る。

籍を入れたばかりの妻、幸子がどれほど労わってくれようが、心に空いた穴は埋まらない。

創太にとっては社会から『お前など必要ない』と、存在を否定されている様に感じてしまう日々。
まさに地獄。借り物の人生。
焦燥感は増すばかり。

ルール無用の地下格闘技へ、創太が帰還を果たすのは必然であったのかもしれない。たとえ命の危険があったにしても。

創太と幸子の世界観において、戦うこと、生きること、愛し合うことは同一線上で語られる。2人にとっての幸せは何処にあるのか。

創太は地下闘技場で命を燃やす時、剥き身の生を実感する。
生きててよかった。
創太の、幸子の、二人の笑顔がそう語る。

その行く先がどこであっても。
その先に何が待っていたとしても。
本当に、生きててよかったと。

なお、『生きててよかった』のフレーズでお馴染み、フラワーカンパニーズさんの〈深夜高速〉は、本件とは関係ない模様。

現場からは以上です!🫡✨



以下、チラ裏の妄言🙄💭📝



コロナ禍初期の頃、僕も自分自身が全て否定される様な経験をしました。
現在もギリギリ抗っている状況ではありますが、当時はもう本当にどうして良いか分からず、精神的な自傷行為を繰り返していたように思います。そうでもしてなければ、どうにかなりそうだったから。

僕の場合、創太の様な刹那的で鮮烈な自己表現の術を持ち合わせておりませんでしたが、なんだかんだ足掻いているうちに時が経ち、現在ではそれなりに『生きててよかった』と思えています。

心がポキっといきそうな経験を一度でもされた方、こちらの作品、深く刺さるかもしれません。

ちくしょう。
生まれたからには生きてやる。