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見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界のlinus3のレビュー・感想・評価

3.5
スウエーデンの画家ヒルマ・アフ・クリントHilma af Klintを紹介する映画
映画の予告で初めて彼女の作品を見た時に、現代の作家と言われても不思議でない、なんともすてきな色使いに魅せられた。
とてもここちよい気分にさせる。
もっと作品を見てみたい、作者について知りたいと思い、映画館へ行くことにした。
100年も前、カンディンスキーやモンドリアンよりも先に、このような作品を描いていた人がいたなんて。

彼女は、死後20年は作品を公開しないよう遺言に書き残したが、大規模な回顧展がストックホルムで開かれたのは、死後69年もたった2013年とのこと。
その後2018年にグッゲンハイムでの回顧展には60万人の集客があったそうだ。

この映画は、ヘルマ・アフ・クリントの人と作品を紹介しているが、それだけでなく、王立美術学校を卒業後、伝統的、自然主義的な絵を描き職業画家として成功していた彼女が、なぜ、抽象的な作品を描くようになったか、また、抽象画の先駆的存在として、なぜ美術史に残らないのかという疑問について、その生涯を追ったり、研究者たちの声などを集めたもの。

絵の感じからシュタイナー的だなと思っていたら、シュタイナーと交流があったようだ。しかし、作品の発表を止めたのは何故?
回顧展が開かれることになった経緯も知りたかった。
もっと彼女の作品を見たい。
日本でも、作品を見る機会が来ますように。

劇伴が少しうるさく感じた。作品それぞれに何かしら音楽をつけている。絵の解釈は見る人にゆだねればいい。音楽でわざわざ色をつけなくてもよいと思う。
作品の紹介よりも、彼女の存在や美術界についてが言いたいことなのか。
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