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見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界のいののレビュー・感想・評価

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このドキュメンタリーの柱は2本

①ひとつは、世にあまり知られていない女性画家(ここではあえて、“女性”という言葉を入れなければならない)の軌跡を紹介すること。②もうひとつは、なぜ美術史は書き換えられないのかという問題提起(異議申し立て)。


ヒルマ・アフ・クリント。画家。1906年、初めて抽象画を描いたのは彼女ではないかということ。わたしは全く存じ上げない方でした。彼女は、数学などを含めじゅうぶんな教育を父親から受け、スウェーデン王立美術院で学んだのち、宇宙の定理とか、自然への接近とか、思索に富み、それらを抽象画として生涯にわたって描き続けたとのこと。強靱な意志と、写真から察せられる優しくて深い瞳が印象的でした。



新しい発見があれば科学史などは書き換えられるのに、美術史は、追記はあっても書き換えられないらしい。その世界は、わたしが思うには頑迷な権威主義に覆われていて、なんとかという(Mで始まる4文字の略称のところ、なんだったか忘れちゃった)ところが認定しないと、抽象画をはじめたのは彼女であるということにならないらしい。とにかく、このドキュメンタリーには女性の美術史家が何人も登場して、そのことに意義を申し立てていた。それは、わたしにとっては初めて聞く話だったけど、「燃ゆる女の肖像」でも女性の画家は男性より低く位置づけられていたことが表現されてたから、自分なりにでしかないけれど、理解することができた。


あと20年経ったら、ヒルマ・アフ・クリントはスウェーデンの宝となるはず、という話があった。それをわたしも楽しみに待ちたい。そして作品展が開催されたら是非とも足を運びたい




内容はとても興味深いものでした。ただ正直に申し上げると、ドキュメンタリー映画としては3.5
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