「見えるもの、その先に、」という題がまず先にある理由がよく分かる。彼女が美術界で全く評価されなかったのは、女性だからはもちろんだが、スピリチュアルな世界を大切にし、それを現わした結果の絵画作品だったこともおおいに影響しているのだ。要するに不気味だから触れないでおこうということで、実生活でもそのような扱いをされていたようだ。
カンディンスキーが彼女の影響をもしかしたら受けていたかも?というのも興味深い。作中でも触れられていたが、他の抽象画家もヒルマと同様の精神性をもっていたのでは?という視点は今後解明されていくと面白そう。考えてみれば、どうしてこの画家がこのような絵を描くのか、ということは、ゴッホはその一生とともにわりと知られているが、他の画家の内面ってあまりクローズアップされないよなぁと。
カメラの焦点が奥、中間、手前へと移っていき、文字通り「見えなかったものが見えるようになる」という撮り方はなるほど~。
ヒルマが自分を認めてもらいたくてもその術がなかったことが悲しい。何よりも本物を観てみたい!と思った。