RyoS

PLAN 75のRyoSのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.3
倍賞千恵子のシーンのほとんどが逆光なのが冷戦中の東側の国の雰囲気を感じさせる。

高齢化の問題を軸としながらも外国人労働者の問題を入れてるがとても良かった。結局しんどくて辛い仕事は弱い立場の人が担っている。

本題の方は、全体的に人間の掘り下げが足らない気がする。セリフに頼りすぎて表面的な人間関係の描写に終始している。唯一良かった河合優実との交流にももう少しインパクトが欲しかった。最初にラジオやテレビの音声で設定をすべて説明しちゃうのももったいなかった。

テーマについて、"国家"が"個人"に死を迫るという社会の全体主義的なところが恐ろしいのに、それを天から降ってきた既成事実として扱っているところに、主権者意識の低さを感じた。社会が賛同しているならその賛同を、分断しているならその分断を描かないと、こんな制度ができて怖いね、高齢者も大切にしようねで終わってしまう。制度に翻弄される人を描くのもいいけど、その制度を生み出している社会も欲しかったなぁ
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