肉の旨味

PLAN 75の肉の旨味のレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
5.0
非常によき。
将来の日本の姿とか言われてるが、まあ前提としては、死を選択することがない社会を作ることが政府としての最低限の役目だからね。

①日本政府は75歳以上の高齢者の安楽死計画を提案し、10万円が支給され、自由に使うことができる。その営業をするのは、ハンサムで明るいセールスマン(磯村勇人)

②この映画の多くは、芭蕉千恵子という日本を代表する女優にこの重いテーマをうまく預けた(かつ大正解)だった。

③ フィリピンの若手女優、Stefanie Arianneが登場。日本にいる多くの若い外国人労働者のひとり。また、今の日本の外国人労働者と同じように家族のために仕送りをしなければならない。

①②③の3人は、3人の主人公の人生は、どこかで交錯する。3人の主人公の人生はどこかで交わるが、同時に3人が揃うことはない。

この空虚感、繋がりの薄さ、外国人労働者をうまくうまくうまく表現しすぎていた、この作品。

死者のポケットを空にし、眼鏡を外し、靴を外し、ベルトを外す。そして、その後、すべての財布を空にする。(アウシュビッツのガス室のあとのような処理でこのシーンは個人的には渋すぎた)

このシンプルなシーンで人生の終わりというショッキングな現実を感じさせるが、マリアには子供を救うために、何かしなければならない。マリアは、子供を救うためにお金を稼がなければならない。という、いくら情が湧いたとて、あくまでも外国人労働者(他者)でしかないかんじもよい。

家族としての繋がり、個人としての繋がり、日本の同調圧力の垣間見える感じ、この違和感と気持ち悪さをめちゃくちゃうまく詰め込んだ映画、こんな素晴らしい表現できる監督えぐぅ。。初の長編映画でこんな素晴らしい作品作れるの天才すぎる、やばい、

人間VS人間ではなくて、人間VS人間が作り出したアホな政策によるシステム、Ahh まさに日本、もっとコミュニケーションとろうぜ。日本。ただ見ることしかしないし、ただただ呆然といつまでも傍観者でいる姿が圧倒的に日本の今の姿であり、リアルだった。
こんなおもろい映画に出会えると思ってなかった。

友達と新宿のジャズバーで5時間ビール飲みながら語った。ありがとう。監督。

2022 72
肉の旨味

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