テーマと設定、俳優さんの演技の良さに期待があり映画館へ。
高齢者の孤独、命の大事さみたいなことは当たり前に感じたけれど、それよりもこのようなことが制度化される社会、そしてそれを遂行することを職とし、賃金をもらう社会の側に目がいく。
その社会を作っている、主に若い世代の一人ひとりの感情の薄情さ、他人への無関心、自分本位、意志の無さ。そしてそういう人の方が、効率的で有能で必要な人であるとされてしまい、そうならなければ生きられないようになってしまっている現代がPLAN75によって表層化される感覚があった。
映画では、対高齢化の設定だったが、このような若者や社会の現状は、仕事で重視されるものと軽視されるもの、お金になるものならないものなど、いろんな対象でもって生じることではないだろうか。
人が普通に生きていく、互いに生きあっていくことが、なぜこんなに難しく苦しいことにならなければいけないのか。とても大きな社会構造のなかで絶対にこのままにしてはいけない部分を描いた作品だと思った。
俳優さんの演技はどなたも素晴らしく、描写も丁寧だったが、観た人自身が考え、振り返ることをしないと本意は感じられない作品かもしれない。それも、試されているようにも思えてきた。
