ナマラマナ

PLAN 75のナマラマナのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.0
いやはやなんとも・・・言葉が出てこないほどの重たくずっしりと堪えた作品でした。
途中で観ているのが忍びなくなり、観るのを辞めようかと思ったほどですもん。
多分、晩年がもうそう遠い話ではないから、余計に自分も当てはまりそうで怖くなったんだろうなぁー。
だって本当にそう遠くない未来にありえそうな話なんですもん。
普通じゃないことって、初めは違和感とかあっても月日が経つと普通なことになっていくものです。コロナも然り。
この映画では「PLAN 75」という「75歳以上の高齢者が自ら死を選ぶ権利を与えて支援する制度」が法案として国会を通り、実施されている近未来の日本社会を描いています。
人様に迷惑をかけちゃいけないと教育される日本人の高齢者なら、どんどんこの制度を利用しそうに思えます。
実際、私ももし重篤な病気になり自尊心を保てなくなったら、スイスへ行くからねーと子供たちに言ってますもん。
でも、この映画では懸命に生きようとしている高齢者さえも、どうぞどうぞとばかりに死に追い込んでいくように見えます。それも当たり前であるかのように。それが何とも言えない怖さに思えます。
でも、PLAN 75を受けつける役所の職員や申請者の心のケアをするコールセンターの職員などなど、彼らも苦悩していく姿が描かれていきます。当たり前ですよね。
一番惨いのは、78歳になり職場も失い、住居も立ち退きがかかり、生きようと職も住居も一生懸命探すけど見つからずで、PLAN 75を選ぶしかなくなった主人公・ミチさんの姿でした。倍賞千恵子さんが静かに淡々と演じてられて、それが余計に心に響きました。
今、思い出してもなんだかなぁ~っとため息がでちゃいます。
もう高齢者社会に入っている日本やドイツ。公的年金なんてこれからどんどん支給される年齢は上がっていき、額だってわかったもんじゃありません。というか崩壊することでしょう。
お金のない老人ほど惨めなことはないと思います、マジで。そうならないように今頑張っておかなきゃなぁーと思うんですけどね・・・。なんか今まで考えちゃいけないと遠回しにしていた問題を目の前に突き付けられたような気がします。
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