75歳で自ら死を選択できる制度が定着した日本。
超高齢社会に生きる社会的弱者の高齢者がそれを選択せざるを得ない姿が痛々しい。
必死に生きてきた人生の最期を決めるのは自分なのか?天命なのか?
PLAN75を申請する角谷ミチがこれまでどんな人生を生きてきたか、真面目にささやかな人生を一生懸命生きてきたミチを倍賞千恵子が細やかな所作で演じ表現している。
市役所で粛々とPLAN75の事務に携わる岡部、関連施設で働くマリア、ミチのコールオペレーターの成宮などがときに交錯しながら人の死に向き合い苦悩する姿が辛い。
自ら死を選ぶことが果たして幸せなのか?
しかし地獄のような現実を生き続けることにいつまでもたえなければいけないのか?
いずれ誰もが対峙するこのことが人ごととは思えないし、そう思えるほど人生は長くない。
またPLAN75が今の日本で絶対ないと言えないこの国のムードが恐ろしい。
慇懃な政府広報に吐き気がした。