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PLAN 75のmiporingoのネタバレレビュー・内容・結末

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

レビューを書こうとするも言葉が見つからない…。リアルに感じつつも、まさか日本がこんなことにはならないだろうという楽観的な自分もいたりして。それが嫌悪感からくる思考停止なのかもしれないとも思うけど。途中、吐きそうなほど観ているのが辛かった。死者の遺品分別のシーンはナチによるユダヤ人虐殺を彷彿とさせるものだったし、若い人たちが親切で丁寧な言葉遣いで老人たちを死に追いやる仕事をしてるとか、悪夢だった。テレビやラジオの声は明るくこのプランを語るけれど、老人がいなくなっても若い人たちは決して幸せそうではない。幸せなはずがない。いずれ自分たちも老人になるのだから。
でもディストピア文学や映画の意義を理解しない成田某などはこの映画を観て、葛藤もなく「こういう政策もありうる」などと言いそう。
心情を語るセリフが一つもなくここまで描くのがすごいと思った。倍賞千恵子が自然に老いを晒け出しているのが素晴らしい。ラストで彼女は死ぬことを拒絶するわけだけれど、彼女を取り巻く状況が好転するはずもなく、これからどうなっていくのだろうと思うと暗澹たる気持ちになる。
安楽死自体は議論の余地があるとは思う派ですが、人権意識がこれだけ低い今の日本には100万年早い。

20230306
中央区議会自民党議員 田中耕太郎氏、ツイッターにて「御批判覚悟で書きますが、平均寿命を超えた方に公費投入はやめるべき。特に終末期医療は緩和ケアなどに力点を置き、費用のかかる延命目的の措置はやめるべき。人は必ず死ぬ。」と発言。
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