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PLAN 75のEmClemのネタバレレビュー・内容・結末

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

にこにこと微笑みながら排除型ベンチの打ち合わせをして、淡々と老人が死ぬサポートを行う若者が出てくる。
彼は、疎遠だった叔父がプラン75に申し込んだ時も淡々としていたが、プラン75で死ぬ予定の叔父と、死の当日に一緒に過ごした後、叔父の死を止めようとする。
彼は、よもや自分がその制度対象者となりうることを想定できていないのか?それとも想定した上でその制度を支持しているのか?は分からないが、まっすぐな瞳で、老人たちに死に向かう制度の説明をしてきた。彼は、身内が制度利用者になって、やっとその死を止めようとする。
この制度は明るい未来をつくるもの、あなたが選ぶもの、そんなPR動画がプラン75では打ち出されている。でも、映画に出てくる老人たちは、経済的貧困や社会的孤立などが要因となり、追い詰められるような形で制度申し込みを行う。自由とは何なのだろう。選ぶとは何なのだろうと考える。私の中では、映画に出てくる老人たちはみな選ばされていると感じる。

シーンの中では、特に何事もなければ明日がまた来るであろう人と、今日人生を終えようとしている人が同じ車内で天気予報を聞くシーンが残酷だと思った。
これをエンターテイメントとして割り切って見ることができたら良いのだろうけど、とても今の世の中では、割り切れない。自分ごとになりうる世界線の話だとしか思えない。
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