PLAN 75のTamakiのネタバレレビュー・内容・結末

「PLAN75」が肯定的意見でもって受け入れられる日本社会に、強い危機感を感じています。

映画の感想としていえば、複数の登場人物のストーリーを盛り込みすぎて消化不良なところはあるものの、台詞に頼らない描写とディテールがとてもよいと感じました。保険会社のようなCMやら「10万円」の見舞金やら、それらの"いかにもありそう"感に思わずニヤリとしてしまいました。

人生の終わりを自ら選択できる制度は、医療の自己決定権に照らし合わせれば確かに必要なものに思われます。
しかしそれを実装できる水準に、この国は達しているでしょうか。PLAN75のような高度な概念が、この期に及んでACPや人生会議の普及も十分に進まない社会に取り扱える代物とは思えません。そもそも「人権」と「思いやり」を綯い交ぜにしてしまう今日の日本社会では、おぞましく形を変えて根付いてしまうのではと、深く深く危惧します。
そうなってしまった結果がこの映画の社会です。我々が生きる現実もそこから大して離れたものではなく、議論を先送りにしてきたツケを、これから皆で払うことになるのでしょう。