高齢化対策として、日本政府は75歳以上の高齢者の“死ぬ権利”を認める法律、通称・PLAN 75を施行したという話。
実にリアルで、現代社会の闇や行く末のように感じてしまい、PLAN75関連で働く若者の視点や制度を利用して死にゆく者の目線から観る側に多角から考えさせられる内容になっている。
いろんな所でのぼりを立てて申し込みを受け付ける。支度金10万の給付と、コールセンターや最期まで手厚いサポートがあり、不動産屋の退去手続きや遺品整理なども行ってくれる。自分だったら家族に先立たれ孤独死して迷惑をかけるより10万で好きなことして苦しまずに静かに死ねた方が良い気がしてしまう…気軽に申し込める死の選択が良いようで悪魔の囁きの様にも感じる。命をゴミやモノのように扱うような…処理の仕方も。
旅行先を決めるようにPLAN75について仲間内で話し合う姿も違和感があるし、コールセンターの講師が申し込んだ人が心変わりしないように誘導すると言っていたことなど、そんな心がない機械的な人間になりたくないなと思った。
作品中に出てくる若者達もどこか人ごとだけど、倍賞千恵子さん演じるミチの様に歳をとり働く場所を失い家も借りられなくなったとき、生きたくても手だてがなく厳しい社会なんておかしい。高齢化は問題だけど、そんな心無い世の中になってほしくないと感じた。
