Jun55

僕はドナーのJun55のレビュー・感想・評価

僕はドナー(2012年製作の映画)
4.4
IMW2022パート1
保守的な国でもあるインドで精子ドナーをテーマにした映画が大ヒット。
なぜ?
タブーに挑んだというよりも、ヒューマンタッチの映画で感動的なエンディングは大感涙。

映画のテーマ選びは、社会・世相を反映している。
インドで大きなテーマといえば世代間の価値観の違い、せめぎ合い。
この映画でも、世代間の価値観の違いがひとつのテーマになっているのだが、主人公の祖母が意外と若者世代に理解がある等、登場人物のキャラクター設定が秀逸。

カースト制、地域間の違い(この映画ではベンガルとパンジャーブ)等、インドは血筋を社会として重んじる風習があるが、それがインド社会の足枷になっている、とする見方もある。
この映画では、精子ドナーというモチーフを使って「生命」の尊さを訴える。そこには、血筋にこだわることの愚かしさ、また、もっと根源的な大切さがあるということを教えてくれる。
この映画が取り上げるものは意外と重いテーマなのだが、それをシリアスにならずに表現するところが巧い。
Jun55

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