Yellowman

チャチャ・リアル・スムースのYellowmanのレビュー・感想・評価

4.5
観ていて何度も笑い、何度も胸が苦しくなる現代の20代の若者の青春映画の傑作。
サンダンス映画祭2022 観客賞受賞作品

この映画の主人公クーパー・レイフ演じるアンドリューは大学を卒業しても、就職先が決まらず、22歳にして実家暮らし。特にやりたい事もない彼は、彼女がスペインに留学したので、当面バイト生活でお金を貯めて、貯まったら自分もスペインへ行く事ぐらいしか、考えていない今どきの若者だ。ただ、彼はコミュニケーション能力が非凡で、”パーティの盛り上げ役”という仕事も引き受けるようになり、あるパーティーで出会ったダコタ・ジョンソン演じるドミノと自閉症の娘親子に出会う。それから、何かとドミノ親子と親密になって行き、スペインの彼女どころではなく、年上のドミノに惹かれて行くが

この作品を観て思ったのは、とてつもなく普遍的であるという事だ。アンドリューのようなモラトリアム時期を経験した人も決して少なくないはずだし、20代前半だと年上の異性に惹かれるのは、普通の事だろう。
そして、アンドリューと家族の関係も素敵だ。現在は、母と弟と母の彼氏と暮らしているのだが、母は、22歳で定職もない息子のやる事を肯定し続ける。歳の離れた弟は、何かと兄であるアンドリューに思春期特有の悩みを相談してくる。それに対し、鼓舞激励したり、時に面倒な日は、邪険にしたり。そんな実に普遍的な事さえも、観ていて愛おしくなる。それくらいアンドリューがコミュニケーション能力が高くても、繊細で傷つきやすいパーソナリティだからだろう。
だからこそのドミノとのロマンス部分は、胸が締め付けられる。ダコタ・ジョンソンは美し過ぎた。
この作品の素晴らしさは、映像と音楽も絶妙で、現在25歳のクーパー・レイフのセンスによるものだと思う。(監督、脚本、主演)
今年のサンダンス映画祭で、Apple が1500万ドルで購入したのも納得なクォリティの作品である事に間違いないだろう。

予告編 https://youtu.be/elrF_siMg1I
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