ホラー成分もあるが、グロテスクな残虐表現がメインなのでそこは注意。ただ徹底的に理不尽な暴力や残虐をこれでもかと描いている割には見終えた後、どこか淡々とした上品さや静けさの余韻も残る。その辺りは、やはり欧州の作品だなあという印象。ミヒャエル・ハネケのファニーゲームなんかも似た感触があった。
コンパクトなランタイムの中に、二転三転して結末が読めない物語や各種の「見せ場」をバランス良く展開しており、非常に秀逸な脚本。事件の根幹にある謎やタイトルが綺麗に回収されていくラストの流れも、上手くオチをつけてあると思う。
本作のようなB級ジャンルムービーって物語自体は適当だったりおざなりである事も多いけど（そしてそれが良い場合も多い）、本作はとにかくやれる範囲で整然と、きっちり仕上げている佳作という印象。ただ反面、この辺のジャンルで美味しいところだったりする安っぽいキッチュ、あるいはぶっ飛んだ無茶苦茶さからくるカオスなパワー感みたいなものは本作にはない。あくまでも上品な作品。
