かめしゃん

マーターズのかめしゃんのレビュー・感想・評価

マーターズ(2007年製作の映画)
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追記の追記、を書き直しました

まず、見てはいけない映画
作ってはいけない映画 
配信してはいけない映画 と思う

その上で、自由意志で私は見たわけだが

フランスの死生観というものは何なのか?という問いが生まれる
なぜ、このような題材である必要があるのか
「不条理を超えたところにある真理みたいなものを描き出したい」とか監督は言い出すんだろうか
どういう意義があるんだろうか
この内容で「ただの娯楽です映画なんだから」が許させるのか とか思う
幾ら創作は自由とは言えども

ただ、一方で、このような世界があり得ることを知らなくていい、不快に感じるものは目に触れる必要がない、と完全に言えるかというと、現実社会にはエプスタイン事件やプチエンジェル事件などがあるわけで、そういった事に目を伏せてばかりではならない、人間の醜悪さを描くことは意味があることなんだ、という強い制作動機なんかがあるんだろうか?とか自分は感じた次第(この映画を勧めている訳ではありません)

カルトが高度に組織化し、社会に根付いている(んだろう)、という感じの設定
恐らく警察に駆け込んでも駄目なんだろう
金持ちみたいな連中が集まってたじゃん

やはり何一つ救いようがない映画ではないか!

追記
・仏教の即身仏など、殉教って自分の意志でやるものだと普通は思うところ しかし、作中の写真でもあったが、歴史的にはなんの意味もなく尊厳もなく、呆気なく、勝手に、果てしなく無惨に奪われた命があり、人間はどうしてこうも残酷になれるのか、世界は何故こうも無情なのか、ということを監督は凄く考えてしまう人なんじゃないか、とか思う 
・突き詰めてしまったところで、カルトに都合よく利用されてるだけだった、という所も敢えてそうしてるんだろうな、と思う
・勝手に殉教者として仕立て上げ、その目に映るものに真理を見出してるカルトや、その残酷描写に美を見出してしまう観客の心理としても(当然、製作者も含め)、やはりどう考えてもキモいのだが、それも含めて、人間ってそういう下劣なところあるよ、と突きつけられてるかのようだ
・なぜ若い女性でなくてはならないのか、というのも、敢えてそうしてるんだと思う(歴史的に虐げられてきた)

追記の追記
・改めて冷静になり、これを書いている この不条理な設定と内容にどうしても主観的に観てしまい、不快な思いをする羽目になるが、一度、この映画のストーリーは架空のもので主人公も架空の存在なのだ、と考えるとします
当然カルトも架空です(架空だと割り切れてしまえること自体が幸福なんだということです)
その時、作者である監督が言いたいこととして、世界中の不遇なる者の存在に対して、死の間際、その瞳に真理をもたらすと考えること自体には、唯一の光みたいなものがあるな、と考えるに至ります
不遇なる者、は世界中に居るはずですし、歴史的にもいたはずです
そういう人たちに対しての救いを与えようとする眼差しは確かにあるな、と自分は(かなり強引にではありますが)感じた次第です
この映画に意義を見出すとしたら、そういうことなんだろうと思う

最終晩に至るまでに、作者は段階的に複数の「倫理的障壁」を設けて、観客をふるい落とすようなことをしています(この先にはもっとキツい表現があるよ、と知らせてくる) それに気付くと、この監督はただ馬鹿みたいに恐ろしい映像を見せ付けたい、というだけではなく、計算して作っていることが分かってきます やはりラストの一つの救いを描きたいために、不条理なカルト教団という設定を立ち上げているはずですし、この監督は、(クソ野郎だ、胸糞映画だ、倫理観の欠片も無い奴だ)というような批判を受け入れる覚悟を決めて、敢えてそう作っているんだと思います

一人でも胸糞から解放されたらいいなと思い、このレビューをここに置きます
かめしゃん

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