きょう

マーターズのきょうのネタバレレビュー・内容・結末

マーターズ(2007年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

前半は監禁・虐待された少女リュシーによる15年越しの復讐劇、後半はリュシーの親友アンナが遭遇する監禁・虐待事件の真相とその顛末が描かれる。

まさか金持ち老人達が事前に死後の世界を知りたいがために、拉致した少女へ肉体/精神の苦痛を与え、殉教者へ変容させて死後の世界に触れさせる実験をしているとは…まさに鬼畜の所業。自分や信者を使わない所にエゴと醜さが表れている。

ひたすらに暴力と狂気と痛ましさが続き誰も救われない展開に胸糞の悪さが込み上げるが、皮膚を剥がされたアンナの達観した表情からか何だか安堵感のような思いが残る不思議な映画だった。
ただの拷問映画ではなく、理由はどうあれ精神性や信仰に繋がる動機があったのも好み。

また、団体上層部の老婆マドモアゼルがアンナから死後の世界の証言を聞くも、発表前に自殺するという大きなオチも面白い。
証言自体は鑑賞側には聞こえないが、マドモアゼルの「"別の世界" は紛れもなくある」「"死後" に何があると思うか?→疑いなさい」の発言(※翻訳依存の解釈) から "死後の世界" ではない別の世界をアンナが見てしまい、それが団体的に非常に都合が悪いとか、現世を生き抜く心を折るほどの物だったとか、そんな妄想が広がる。
着飾っていたメイクをわざわざ落とすほどの何らかの諦めを感じる一幕だった。

鑑賞後のエンドロールでは、あったであろう幼きリュシーとアンナの日常の映像に泣ける。
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