ねぎ地獄

(ハル)のねぎ地獄のレビュー・感想・評価

(ハル)(1996年製作の映画)
4.0
東京で都会的な生活をする、ハル。仙台で仕事を転々とする、ほし。異なった環境で暮らす二人がパソコン通信で出会い、互いの近況、悩みを報告するうちに関係が深まっていく。

96年上映、パソコン通信が最新のコミュニケーションツールだった時代に制作されている。なんと「ユー・ガット・メール」の3年前!
本作ではパソコン通信でのやりとりは画面全面が青くなり、文章が白字で題名、本文に分けて表示される大胆なスタイル。
文章を読みながら映像を観ていくので、小説と映画のあいだみたいな作品だと感じました。
当時からしたらかなり前衛的なテーマと見せ方だったのだろうと思います。

素性がわからない相手同士だから少しだけ嘘をついちゃう感じ、お互いを知りたいけれど目の前にいないからこそ慎重に仲を深めていく感じ、しばらくやりとりをしていると相手をわかったようなことを書いちゃう感じ、題名で若干遊ぶ感じ、わかるぞぉー!

二人の関係性の変化を文面を通して分かるというのも、映画としては新鮮な体験。
私は特に後半のほしらしさが出ているほしの文章がとても好きでした。誠実ながら少しコミカル。「私にたくさんのメールをくれたハルが、わたしが私が生まれ育った場所を200キロのスピードで通過して行きました。」最高である。

随所で流れるエレベーターミュージック。
これなんだー、コリアンダー。
繰り返される新幹線の映像。
フロッピーディスク。

すごく良かった。森田芳光監督、最高です!
ねぎ地獄

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