meguros

Phil Tippett: Mad Dreams and Monsters(原題)のmegurosのレビュー・感想・評価

3.8
狂気の神様の実像を知るべくこちらも鑑賞。てっきりギーガーのような(偏執的な?狂った?)人を想像していたが、職人や哲学者(苦虫を噛み潰したブレンダン・グリーソン)のような人だった。しかし、子供の頃から”奇妙なものに夢中”とのことで母親は精神科に相談していたらしい。

フィル・ティペットが業界に入った頃(15歳くらいからやってたらしい)ストップモーションやモンスター造形に組合なんてなかったそうだが、ジョージ・ルーカスがそうしたはぐれものでも映画制作に参加できるようにILMを設立(偉い)。リック・ベイカーの下で特殊メイクを学び、スターウォーズにおける酒場(カンティーナ)のエイリアン着ぐるみ製作を手がけ、ホログラムチェスで一躍有名に。その後も、ジャバ、AT-ATスノーウォーカー、ランコア等サーガの世界を彩る。

独立後に手がけた「ドラゴンスレイヤー」におけるドラゴンの動きを今見ると、それが後のGoTへ繋がる源流であることがよく分かる。「ロボコップ」でED 209を演出。そして時代はCGへ。ジュラシックパーク参加予定取り消しとなるところを”CG作家は描画は得意だが、動物や生き物には詳しくない”という点に気づき、ミニチュアモデルに電子動作を組み合わせたゴーモーションの発明によって時代をサバイブ。モーションキャプチャとミニチュアモデルを組み合わせるなどティペットスタジオはデジタル化していく。「スターシップトゥルーパーズ」はティペットの進化があってこそ成立したとバーホーベンは語る。

ティペットは「マスクを被ったり外見が変わったりすると、本来の自分とは違う自分になれる」と話すが、これからの時代で捉えるならそれはアバターにおけるプロテウス効果のことだろう。
meguros

meguros