うっちー

暴力をめぐる対話のうっちーのレビュー・感想・評価

暴力をめぐる対話(2020年製作の映画)
4.0
 催涙弾の音、煙、叫び声や泣き声……終始緊迫した場面が続くフランスのドキュメンタリー。2018年に始まった市民デモ、黄色いベスト運動と警察との攻防の模様を紹介しつつ、デモ参加者、学者、警察側関係者(ほとんど断られたと)が、それぞれの立場で暴力と正義、民主主義などについて討論する映画。正直、このデモがこれほど苛烈で、また、それを抑え込む警察の所業がさらに強硬であったことを知り、驚いた。ある場所では、デモ参加者ではない一般市民を、ただ現場にいただけだからというだけで暴力的に制圧したり、郊外の(たぶん移民が多い)団地地域の高校生たちの集団をまるで囚人か捕虜のように扱ったり。。。「懲治」という言葉、使ったことなかったけれど初めて知りました。
 討論の場面は、一部の識者たちの話がフランス的に(?)難しくてちょっとうとうとするが、比較的わかりやすく、一応警察側の話も入れているのはフェアだと思った。日本ではこれほどのデモは長らくないわけだけど、いまだに何かあると団結する韓国の方はどう見るだろう。また、国は違うが、黒人だというだけで、デモも暴行もしていない一般市民を平気で殺すアメリカの警察の怖さを思い知った。
 最後に入っていた監督の、日本の観客へのメッセージ、とてもよいと思った。音楽も強調もない真摯な作りだけに、正直とっつきにくく、上映館も少なく観に行くのが大変だから。しかし、映画館で観てこその緊張感で、観に行ってよかった。

K2は初めてで、椅子も音響も良かったけれど、入り口が、わかりにくく、ちょっと戸惑いました。
うっちー

うっちー