うえまつ

暴力をめぐる対話のうえまつのレビュー・感想・評価

暴力をめぐる対話(2020年製作の映画)
4.0
フランスの黄色いベスト運動をめぐるドキュメンタリー。

冒頭から黄色いベスト運動などの説明なく始まるので、黄色いベスト運動の歴史と、フランスの市民と国家間の抵抗の変遷を頭に入れた上で観た方が理解が深まる。

暴力の正当性は誰によって規定されるのか。暴力が抵抗、保安の手段として許容されるのはどのような場合なのか。
アーレントなどの引用が登場しながら、実際にベスト運動に関わった人たちの生の声も加えられる。スマホで撮影され、SNSで拡散された映像により明らかになる国家権力による市民への「暴力」。国家権力の名の下、市民の抵抗運動を抑制し、「正当性」を主張する警察。

鑑賞後、バトラーの『非暴力の力』を読んで、バトラーの指摘と重なるシーンが多々あった。
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