えり

暴力をめぐる対話のえりのレビュー・感想・評価

暴力をめぐる対話(2020年製作の映画)
4.0
黄色いベスト運動についてのドキュメンタリー。フランスのデモは激しいっていうなんとなくのイメージしか持ち合わせていなかった私…正直知識不足を感じた。それでも、ものすごくガツンと来た。

一般の人・プロが撮影した実際のデモの際の生々しい映像。丸腰の市民に対して執拗に警棒、催涙ガス、ゴム弾で襲いかかる警官・憲兵隊。亡くなった人、手を失った人、眼を失った人。でも、国・警察側はもちろんそれらを奪った暴力の正当性を主張する。
正当性のある暴力とは…?
誰がその暴力に正当性があると決めるのか。
民主主義とは…?
私はあまりSNSは好きじゃないんだけど、誰もが撮った映像を即座にアップできるようになったことによる変化はとても大きいと思うので、これについては良かったと思う。

余計な演出や音楽がなく、片一方の主張をする人だけで話を進めず、両方の意見を取り入れて進んでいく内容が良かったと思う。
国・警察側はそもそも取材に応じられる人が少なったようだけども…そりゃ当たり前か。

出演者のひとりが言っていたように、
「権力」というのは普段は見えないようにうまく隠されてるもの。でも、その「権力」を行使して良い状況=デモになるとそれはハッキリと姿を現す。で、それをその場で振りかざすことに快感を感じるのはわからなくもないなぁと。
にしても、貧しい地域(移民が多い)の学校での映像には腹がたった。最悪だ。

暴力を伴うデモを頻繁に起こす事が良いとは思わないけど、人権先進国?であるフランスでもこんな状況とは…国家権力こわい。
主張すること「対話」するために行動することについて、いつまでも他人事で消極的でいることに対してとりあえず更なる危機感を感じたのは確か。
えり

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