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ドント・ウォーリー・ダーリンのrillのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

うだつの上がらない男達がバーチャル異世界でハイスペになり、洗脳した女達に男のプライドを満たさせる。なろうモノの身勝手さグロテスクさが痛烈に描かれている。

男達は全てを手に入れて自信に満ち溢れているように見えるが、予想外の展開には途端に狼狽えたり挙動不審になって現実のダサい姿に戻ってしまう。

ジャックとアリスはたまたま現実でも恋人同士だったが、女を選ぶ権利は男にあり、一方的に好意を寄せていたというケースもあるだろう。ストーカーに洗脳されてラブラブ夫婦ごっこに興じていたなんて気付いたら恐ろしい。

食事会でのアリスの怒涛の指摘にフランクはなんらまともに反論できていないのに、嘲笑してこの女は狂人だと決めつけるだけで周囲もフランクを支持し孤立してしまう。
内容に関係なく男を否定したり逆らったりすること自体がタブーなのだ。

ジャックはアリスの気を逸らし繋ぎ止めるために子どもを作ろうとする。ラストでも子どもがいる女性は逃げることを選ばない。
アリスに手に職があったことも大きい。
女性が自立心、反逆心を失わずに生き抜くために必要なことを教えてくれる。

飛行機や作業員や覚醒時の液体の「赤」はインセルの“レッドピル”のメタファー、
飛行機は仮想世界への移動手段、墜落は囚われた女性が途中で覚醒し暴れるなどして誘拐が失敗しバグが起きて見えた、
時々起こる地震は現実世界での身体ケア時の揺れを体感しているのでは。
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